なぜ企業は中期経営計画を立てるのか?

日本でも多くの企業が中期経営計画を立てていますが、なぜ企業は中期経営計画を立てるのでしょうか?そこにはどんな意味があるのでしょうか?
そして、中期経営計画は誰のためのものでしょうか?
中期経営計画は、その会社の社員のためのものか?それとも、金融機関を中心としたステークホルダー(利害関係者)のためのものか?
このページでは、なぜ中期経営計画が存在するのか?について考えていきます。
未来への仮説

企業が中期経営計画を立てる理由は、単なる「数字の予測」ではありません。
それは、変化の激しい時代において、自社の未来をどう描き、どう動くかという“仮説”を立てる行為です。
中期経営計画を立てる多くの企業には、「未来への仮説を立てる」という考えが根本にあると思います。
3年前に、私は自社の中期経営計画策定委員会のメンバーとして、中期経営計画の策定に加わりましたが、自社が中期経営計画を策定する理由は、まさに未来への仮説を立てることでした。
中期経営計画は「羅針盤」である
日々の業務は、どうしても目の前の課題に引っ張られがちです。
売上、コスト、人材、競合…。そんな中で、「そもそも我々はどこに向かっているのか?」という問いに答えるのが中期経営計画です。
- 企業のビジョンと現場をつなぐ「架け橋」
- 経営判断のブレを防ぐ「軸」
- 社員の行動を統一する「共通言語」
中期経営計画があることで、組織は“点”ではなく“線”で動けるようになります。
投資家・金融機関との対話の起点にも
近年、東京証券取引所が「資本コストを意識した経営」を求めるようになったことで、企業はROICやROEなどの指標を中期計画に組み込むようになりました。
これは、企業が“未来の価値創造”をどう考えているかを示すメッセージでもあります。
投資家やステークホルダーは、計画の達成そのものよりも、「その企業がどんな仮説を立て、どう挑戦しようとしているか」に注目しています。
中期経営計画は“仮説”である

もちろん、未来は予測できません。
だからこそ、中期経営計画は「固定された約束」ではなく、「変化に対応するための仮説」として捉えるべきです。
- 変化に応じて柔軟に見直す「ローリング型計画」
- 数値だけでなく、戦略のストーリーを語る設計
- 社員やステークホルダーとの対話を促すツール
このように、中期経営計画は“未来を固定するもの”ではなく、“未来に向けて動き続けるための思考のフレーム”なのです。
計画は「生きた戦略」にできる
企業が中期経営計画を立てるのは、未来に向けて「考え、動き、伝える」ため。
それは、経営者だけでなく、現場の一人ひとりが「自分たちの仕事が、どんな未来につながっているのか」を実感するための仕組みでもあります。
そして何より、その仮説を描くこと自体が、企業の“変化対応力”を高める行為なのです。
まとめ
ここまでの内容を踏まえて、中期経営計画が誰のものかを考えると、社員を含む多くのステークホルダーが関わるため、広い意味で皆のものだと思います。
そんな中期経営計画は、策定する側はもちろん、実行する現場の社員も含めて、関係者全員が想いを込めて関わり続けることで磨かれていくのだと思います。
このページが、読んで頂いた方の参考になれば幸いです。
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以上