「課長のようなエネルギーが、私にはありません」ー20代の部下に言われて気づいた、40代の「ギアチェンジ」の秘密

ボクトヒカル

「私には課長みたいに生きるエネルギーがありません」

以前、17歳年下の部下から不意に投げかけられたこの言葉に、私は言葉を失いました。

26歳の彼女は、非常に真面目で、仕事に対しても手抜きをしない一生懸命な若手社員です。

私はこれまで、自分が「エネルギー」を持って生きているなんて、一度も考えたことがありませんでした。彼女は私の何を見て、どんな言葉で、生きるエネルギーを感じたのか?正直、よく分かりません。

ただ、その時の会話を思い出すと、私がなんでそんなに頑張るのか?頑張れるのか?と感じているようでした。

今の私は単身赴任で、職務は製造業の企画マネージャーという立場で、数字とロジック、そして現場の調整に追われる毎日。週末に家に帰れば二人の子供の父親としての顔があり、家族との時間を過ごす。

自分では何か特別なエネルギーを使い、特別な仕事や働き方をしているつもりはありません。

しかし、彼女の言葉をきっかけに自省してみると、そこには単なる「体力の差」ではない、世代間の生存戦略の違いや、人生におけるエネルギーの使い方のヒントが隠れていることに気づきました

このページでは、すべての世代のビジネスパーソンへ向けて、「生きるエネルギー」の正体について考えてみたいと思います。

エネルギーを効率的に使う中堅

20代の彼女にとって、仕事は「全て高い完成度を目指して、完璧に近いかたちで行うもの」に見えているのかもしれません。

すべてのタスクに全力を注ぎ、完璧を目指す。その姿勢は決して否定しませんし、立派だと思います。しかし、その行動は多くのエネルギーを消費し、多くの時間を要します。

一方で、40代の私たちが軽やかに(あるいは図太く)動いているように見えるのは、決してエネルギーが巨大だからではありません。

それは、これまでの経験で得てきたノウハウにより、仕事の重要度や優先順位をつけるスピードが速く、気持ちの切り替えも早いからスピーディーで軽やかに仕事をしているように見えるのだと思います。

若手のビジネスパーソンが多くの仕事に全力を注ぐ一方で、中堅のビジネスパーソンは仕事に重要度と優先度をつけて、エネルギーの注ぎ方を上手くコントロールしているだけなのです

プライベートの充実は仕事のエネルギーに変わる

私には妻と二人の子供がいます。独身の若手から見れば、育児や家事は、仕事のエネルギーを奪う「追加のタスク」に見えるかもしれません。

しかし、実際は逆です。家族という守るべき存在、あるいは仕事とは全く無関係なコミュニティは、気持ちの切り替えに効果的で仕事を充実させる大切な要素の一つです。

仕事でどれだけ理不尽なことがあっても、家に帰れば父としての役割が待っている。この役割の切り替えこそが、精神的な回復(レジリエンス)を生みます。仕事が人生の100%を占めてしまうと、仕事の失敗は「人生の失敗」になってしまいます。

多忙な40代がタフに見えるのは、実は仕事以外にいくつもの「自分」という逃げ場や、エネルギーの補給ポイントを持っているからです。

世代間のギャップをリスペクトに変える

今の20代は、私たち40代が若い頃よりも、ずっと「自分を大切にする」という感覚に優れています。

彼らは「無駄に自分をすり減らしたくない」という切実な願いを持っています。それは、停滞する経済や先行き不透明な時代を生き抜くための、彼らなりの「生存戦略」だと思います。

一方、私たち40代(氷河期世代やポスト氷河期世代)は、「役割を全うすることでしか、自分の価値を証明できない」という加点方式の世界で生きてきました。

この二つの価値観は、衝突するものではありません。

  • 40代は若手から「自分を労り、持続可能な働き方をする視点」を学ぶ。
  • 20代は40代から「役割に身を任せ、慣性で物事を動かす技術」を盗む。

部下が私に言った「エネルギーがありません」という言葉。それは「あなたのようにはなりたくない」という否定ではなく、「どうすれば、そんなに長く走り続けられるのですか?」という、切実な問いかけだったのだと、今は受け止めています。

おわりに

40代も、30代も、20代も。

私たちは、それぞれ違うギアを持って、同じ時代という道を走っています。

フルスロットルで走ることに疲れたときは、隣を走る「少しだけ力の抜き方を知っている先輩」に、ギアの落とし方を聞いてみてください。

きっと、「実は僕も、けっこう適当だよ」という、意外に人間臭い答えが返ってくるはずですから。

このページが、読んで頂いた方の参考になれば嬉しいです。

ABOUT ME
ボクトヒカル
ボクトヒカル
事業企画マネージャー
一般企業で事業企画マネージャーをしています。 マネジメントも含めて、営業として19年のキャリアを積み現職へ。 リスキリングを目的に、働きながら大学院で経営学を学び、経営学修士(MBA)を修了。 仕事も遊びも色々な視点で楽しんでいます。
記事URLをコピーしました