ビジネスの裏側

泥臭く思える「社内政治」も、明日を照らす「コミュニケーション」の一つかもしれない。

ボクトヒカル

月曜日の朝、オフィスに向かう足取りが少しだけ重くなる。

そんな経験はありませんか?

仕事そのものは嫌いじゃない。けれど、あの独特の「空気感」が苦手。

誰が誰とつながっていて、誰が力を持っていて、誰に話を通しておかないと物事がスムーズに進まないのか……。

いわゆる「社内政治」や「根回し」。

その言葉を聞くだけで、なんだか心がザラついてしまう。

「もっと真っ当に、実力だけで評価されたい」

「裏でこそこそ動くなんて、自分らしくない」

私もずっと、そう思っていました。

でも、ある時から少しずつ、考え方が変わってきたんです。

社内政治は、誰かを蹴落とすための武器ではなく、自分と大切な仲間を守り、やりたいことを実現するための「コミュニケーション」の一つかもしれないと。

このページでは、そんな「社内調整」と「コミュニケーション」の話をしていきます。

「根回し」は、相手の心をノックするマナー

「根回し」という言葉を聞くと、少し事務的な感じがしますが、私なりに言い換えると「相手の心に、そっとノックをすること」だと思うんです。

例えば、あなたがとても大切にしている部屋に、誰かが土足でいきなり入ってきたら、どんなに素晴らしい提案を持っていたとしても「まずは靴を脱いでよ」と言いたくなりますよね。

組織の中での「根回し」も、これと同じです。

会議という「みんなの場所」で発表する前に、「実は今、こんなことを考えているんです。〇〇さんの意見を聴かせてもらえませんか?」と、事前に相手の部屋の扉を叩く。

それは「裏工作」ではなく、相手の立場やプライド、積み上げてきた経験を尊重するという「マナー」に近いもの。

「教えてください」と頼られて、嫌な気持ちになる人は意外と少ないものです。

事前に相談することで、相手は「批判者」ではなく、あなたのアイデアを一緒に育てる「協力者」に変わってくれる。

そんな風に考えると、少しだけ、根回しが温かいものに見えてきませんか?

政治力を「思いやり」というスキルに変換する

海外のビジネススクールでも「政治的スキル(Political Skill)」はリーダーに不可欠な能力として教えられているそうです。

でも、それは「ずる賢さ」を競うものではありません。

私たちは、それを「周囲を味方につけるポジティブな調整術」として、自分の中に落とし込んでみましょう。

そのための、4つの小さなステップを提案します。

1. 相手が大切にしているものを、一緒に大切にする

まずは、観察することから始めます。

上司や同僚が、今、何に困っているのか。何を達成したくて、何を恐れているのか。

相手の「得」だけでなく、相手の「不安」にも寄り添ってみる。

「この提案は、あなたのあの課題も一緒に解決できるかもしれません」

そんな風に、相手の考えの中に自分の提案をそっと置かせてもらうイメージです。

2. 「正論」に、少しの「余白」を混ぜる

仕事において「正しいこと」はとても強い武器になります。でも、正論は時に人を傷つけ、心を閉ざさせてしまいます。

ロジックで武装するのではなく、「まだ迷っている部分があるんです」という隙を見せてみる。

その「余白」があるからこそ、人はそこに手を貸したくなる。

完璧であることより、愛される不完全さの方が、組織の中ではずっと強い推進力になることがあります。

3. 「貸し」を作るのではなく、「お裾分け」を貯める

「助けてあげたから、次は助けてね」という貸し借り(ギブ・アンド・テイク)だと、心はどんどん乾いてしまいます。

そうではなくて、自分の持っている知識や時間を、誰かのために「お裾分け」する感覚で使ってみる。

他部署の忙しい同僚を手伝ったり、後輩の頑張りをこっそり上層部に伝えたり。

そんな小さな「善意の貯金」が、いつかあなたが壁にぶつかった時、見えない力となって背中を押してくれるはずです。

4. 「みんなでどこへ行きたいか」を語り続ける

政治が「個人の利益」のためだけに行われると、それはドロドロとした争いになります。

でも、そこに「このプロジェクトが成功すれば、お客さんがこんなに喜んでくれる」「チームがもっと楽になる」という「大義」があれば、それは「希望」に変わります。

自分のためではなく、「私たちの明日」のために動く。

その純粋な動機こそが、最強の政治力になるんです。

働くことは、誰かと協力すること

「社内政治なんて、なければいいのに」

そう思う日があってもいい。でも、人間が集まる場所に感情や利害があるのは、ごく自然なことです。

川の流れを無理に堰き止めるのではなく、どうすれば自分も周りも心地よく流れていけるか。そのための「水路」を作る作業が、ポジティブな調整術だと思います。

仕事は、一人ではできません。

誰かの力を借りて、誰かに力を貸して、そうやって少しずつ、昨日よりも良い場所を作っていく。

社内政治を「スキル」として身につけることは、決して自分を偽ることではありません。

むしろ、大切な自分を、そして大切な仕事を守るための、優しくて力強い「知恵」なのです。

明日、会社に行ったら、まずは誰かに「ちょっと相談があるんですけど……」と声をかけてみませんか?

その小さな一歩が、あなたの周りの景色を、少しずつ明るい色に変えていくかもしれません。

おわりに

私は7・8年ほど前まで、社内政治や社内調整が嫌で嫌で仕方がありませんでした。

シンプルに、仕事(業務)だけに集中したかったし、仕事だけで評価して欲しかったし、社内政治や社内調整は無駄だとすら思っていました。

しかし、社内調整はコミュニケーションの一つであり、根回しは気遣いの一つであり、政治的な周囲への配慮はやりたいことを実現する手段であると気がつき、これは非常に意味のあるポジティブな調整術だと捉えるようになりました。

ストレスが全く無いとは言いませんが、捉え方が変わってからは、周囲への配慮や根回しを、ストレスの少ない状態で行えるようになりました。

皆さんも是非、捉え方を変えて試してみてください。

皆さんの働く時間がもっと穏やかで、もっと自由なものであるように願います。

ABOUT ME
ボクトヒカル
ボクトヒカル
事業企画マネージャー
一般企業で事業企画マネージャーをしています。 マネジメントも含めて、営業として19年のキャリアを積み現職へ。 リスキリングを目的に、働きながら大学院で経営学を学び、経営学修士(MBA)を修了。 仕事も遊びも色々な視点で楽しんでいます。
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