転職で去っていく部下を、快く送り出せるマネージャーの思考法

ボクトヒカル

中堅企業のマネージャーとして日々現場を預かる中で、避けて通れないのが「部下の離職や転部」です。

手塩にかけて育てた戦力が抜けるとき、あなたならどう反応しますか?「裏切られた」と感じるか、「実務が回らない」と頭を抱えるか。

多くのマネージャーが感情と実務の板挟みになる中、私が行き着いたのは、一見ドライで、しかし人間味のある合理的なマネジメントです。

このページでは、転職や転部でチームを離れる部下を快く送り出す方法や、その考え方について書いています。

「去る者は追わない」という誠実なリアリズム

部下から「辞めたい」「異動したい」と切り出されたとき、引き止めに奔走するのは得策ではありません。なぜなら、意思表示をした時点で、その部下の心はすでに次のステージへ向かっているからです。

人はコントロールできません。コントロールできないものを変えようとするエネルギーは、組織にとって大きな損失です。それよりも、「一人のビジネスパーソンとしての決断」を尊重し、快く送り出す。 これは優しさというよりも、部下の覚悟を認め、マネージャー自身が「自分がコントロールできること(組織の再編)」に集中するための合理的な判断です。

欠員という「ピンチ」を「組織のデフラグ」に変える

人が抜けた穴を、特にエース級が抜けた穴を、誰か一人の「頑張り」で埋めようとすれば、連鎖退職の引き金になります。ここで私が行うことは、タスクの棚卸しリソースの再配置です。

  1. 業務の断捨離: 「前任者がやっていたから」という理由だけで続けていた無駄な仕事を捨てる好機と捉える。
  2. 仕事の再分担: 「誰か」ではなく「全員」で負荷を負う。そこには必ずマネージャー自身も含みます。
  3. 人以外のリソースを補充する: 人というリソースが減った分、物・金・情報という他のリソースを上層部から「取ってくる」のがマネージャーの戦いです。

人員減となる部門に対して、上記3つの対応策はおすすめです。

「ありがとう」と「なんとかなる」の罠

私は「ありがとう」と「なんとかなる」という言葉を意識的に使っています。感謝(ありがとう)はチームの潤滑油であり、ピンチの際の、「なんとかなる」はマネージャーとしての覚悟の表明です。

しかし、ここには落とし穴があることに気がつきました。

「なんとかなる」が単なる精神論になってはいけません。マネージャーは、なぜなんとかなるのか?というロジック(数字や根拠)を裏側で持ち続ける必要があります。

また、マネージャーが実務に入りすぎて「自分がいないと回らない組織」を作ってしまうのは、長期的なマネジメントの敗北です。目指す目標は、「効果的にリソースが回り、成果が出る仕組み」を作ることになります。

おわりに

合理的な仕組みだけで人は動きません。仕事が大きな山場へ向かう時に、私はメンバーへ「この山場を乗り切ったら美味しいものを食べに行く!飲みに行く!」というシンプルな約束をします。それは、共に戦うメンバーの張り詰めた糸を緩めるためであり、ちょっとしたモチベーションアップや、団結力にも繋がると考えているからです。

部下を送り出すことは、決して損失ではありません。それはチームが新陳代謝し、より強固な組織へとアップデートされるための「脱皮」のようなものだと思います。

転職や転部で自分のチームを去っていく部下を快く送り出す。これは、自分(マネージャー)にとっても、残されたメンバーにとっても、合理的で愛のある判断だと思います。

このページが、読んで頂いた方の参考になれば嬉しいです。

ABOUT ME
ボクトヒカル
ボクトヒカル
事業企画マネージャー
一般企業で事業企画マネージャーをしています。 マネジメントも含めて、営業として19年のキャリアを積み現職へ。 リスキリングを目的に、働きながら大学院で経営学を学び、経営学修士(MBA)を修了。 仕事も遊びも色々な視点で楽しんでいます。
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